値引きの目安は建売住宅の価格の3〜5%
建売住宅の値引きできる金額は「物件による」というのが正確な答えですが、原価や企業の利益率を考えると、販売価格の3%〜5%程度が目安になります。
例えば、3,000万円の物件なら90万円〜150万円、4,000万円の物件なら120万円〜200万円程度が値引きの限界ラインです。
基本的には、販売価格の端数分が値引きされるイメージを持つとよいでしょう。
例えば、3,090万円の物件が90万円値引きされ、3,000万円で購入できるといった具合です。
なお、1,000万円〜2,000万円台のローコスト住宅と呼ばれる物件の場合、100万円以上値引きされることはほとんどありません。
仲介手数料の値引き交渉もできる
建売住宅の販売会社には、自社で建てた物件をそのまま販売する「売主」と、売主から預かった物件の売買業務のみ請け負う「仲介会社」の2種類があります。
仲介会社から購入する場合は、本体の価格以外にも仲介手数料に関する値引き交渉ができるケースがあります。
ただし、仲介手数料は仲介会社の貴重な収入源であり、交渉の難易度はかなり高いです。
値引きされたとしても、端数分程度にとどまることが多いでしょう。
少しでも住宅の購入費用をおさえたい方は、無理に交渉するよりも、仲介手数料がかからない「売主」から物件を購入することをおすすめします。
また、仲介会社によって仲介手数料は大きく変わるため、複数社を比較して安い仲介会社を選ぶのもよいでしょう。
代金以外の方法で実質値引きされることもある
実際に建売住宅の値引き交渉をしてみると、オプションの一部を無料でつけるといった条件を提示する販売会社も多いです。
食洗機のグレード変更や棚の追加などのオプションは数万円かかることも少なくないため、無料でつけてもらえれば実質的な値引きになるでしょう。
つけたいオプションの内容が決まっていれば、値引きの相場の範囲内で購入者側から提案してみるのもおすすめです。
なお、無料でつけてもらえる場合であっても、不要なオプションを追加すると後悔することがあります。必ず内容を確認し、追加するかどうかは冷静に判断しましょう。
建売住宅は需要で値引きの限界が変わる
販売会社が建売住宅を値引きするのは、利益を減らしてでも購入してもらいたいからです。
人気のある物件は定価のまま売れるため、値引きする必要がありません。
例えば、利便性が高い人気エリアの物件や、購入希望者を募集し始めたばかりの分譲地の物件などは、値引き交渉そのものができないことが多いです。
値引きの相場はあくまで目安にして、物件の条件や販売会社のやり取りの様子を見ながら慎重に交渉するかどうかを判断してください。
建売住宅の値引き交渉のタイミング
値引き交渉は、相談を持ちかけるタイミングも重要です。
建売住宅の場合はどのタイミングで交渉すればいいのか、購入時の流れを確認しておきましょう。
値引き交渉できるのは購入申し込み前まで
建売住宅を購入する主な流れは、以下のとおりです。
①物件情報を探す
②気になる物件を内覧する
③購入申込書を提出する
④売買契約を締結する
⑤代金を支払い、物件の引き渡しを受ける
正式に契約するのは売買契約書にサインするタイミングですが、購入申込書を提出すると物件が仮おさえの状態になります。
つまり、販売会社はほかに購入希望者があらわれても断らなければいけません。
さらに、申し込み後は社内稟議を通したり契約書を用意したりとさまざまな手続きが進んでいくため、契約直前や支払いのタイミングで値引き交渉するのはマナー違反です。
販売会社の心象もかなり悪くなるので、交渉するなら購入申し込み前までにしましょう。
建売住宅を探す段階での値引き交渉は危険
建売住宅の値引き交渉は、タイミングが早すぎても失敗する可能性が高いです。
特に、手当たり次第に値引きを相談するのは控えましょう。
販売会社が値引きするのはあくまで購入してもらうためであり、購入するかどうかわからない段階で交渉を持ちかけても避けられてしまいます。
また、物件探しの段階で「どのくらい値引きできそうか」といった質問をするのもおすすめできません。
担当者の心象を悪くするうえに、実際に契約する際にも無理な値引き交渉でトラブルを起こす可能性がある人だと認識されてしまうためです。
値引き交渉するなら、希望の物件がほぼ定まったタイミングにしましょう。
建売住宅の値引き交渉を成功させるポイントは、販売会社にとってのメリットを提示することです。具体的には、以下5点を意識してみましょう。
①建売住宅を購入する意思を明確に表示する
②住宅ローンの事前審査を終えてから値引き交渉する
③建売住宅の入居日程を調整してから値引き交渉する
④オプション工事をまとめて発注して値引き交渉する
⑤迷っている建売住宅の価格を提示して値引き交渉する
順番に詳しく解説します。
建売住宅を購入する意思を明確に表示する
建売住宅の販売会社にとって購入するかどうかわからない人と値引き交渉するのはリスクが高く、断られてしまう可能性が高いです。
そのため、購入する意思を明確に示してから交渉することが大切です。
具体的には、実際に会話でアピールするだけではなく、購入申込書を取り寄せてもらうとよいでしょう。販売会社もほかの購入希望者を断ったうえで落ち着いて対応できるため、交渉しやすくなります。
住宅ローンの事前審査を終えてから値引き交渉する
住宅ローンの事前審査では、申込者の収入や年齢などの返済能力が審査され、住宅を購入しても問題なく支払いできるかどうかが判断されます。
建売住宅をおさえたあとで審査に落ちると、販売会社にとっては時間や手間が無駄になってしまいます。そのため、あらかじめ事前審査を終えておくと優先されやすく、値引き交渉もスムーズに進むでしょう。
事前審査の結果が出るまでは、3〜7日程度かかります。
希望の物件が決まったら、早めに審査を申し込んでおきましょう。
建売住宅の入居日程を調整してから値引き交渉する
建売住宅の販売会社にとっては、引き渡しまで短期間でスムーズに進むことがメリットになります。
物件を管理する手間がなくなり、資金も早く回収できて次の物件を建てられるためです。
特に、決算の締め日が近ければ、値引きしてでも早く引き渡せる方を優先したくなるでしょう。
事前に賃貸の退去予定日や引越し予定日を決めておき、契約すればすぐに手続きを進められることを伝えて交渉してみるのがおすすめです。
オプション工事をまとめて発注して値引き交渉する
値引き交渉を成功させるには、販売会社のコストをおさえられるような条件を提示するのがポイントです。
建売住宅の場合は、オプション工事をできるだけまとめて発注し、効率よく作業できるようにするとよいでしょう。
オプションの内容が決まった時点で見積書が提示されるため、まとめて発注する分値引きしてもらえないか聞いてみるのがおすすめです。
迷っている建売住宅の価格を提示して値引き交渉する
値引き交渉する際は、希望する値引き金額の根拠を示すと成功する可能性が高まります。
具体的には、迷っているほかの建売住宅の価格を伝えてみるとよいでしょう。
販売会社があといくら値引きすればよいかを把握でき、根拠を示せるので社内の調整もしやすくなります。
ただし、わざと他社の物件を見せて駆け引きするのはおすすめできません。
心象が悪くなり、交渉に失敗する可能性が高いです。
あくまで本当に購入したい物件がある場合のみにしてください。
まとめ:建売住宅の値引き交渉は慎重に考えよう
建売住宅の値引きの相場は、販売価格の3%〜5%程度です。
端数分を値引きされることが多く、500万円や1,000万円といった単位で値引きされることはほぼありません。
値引き交渉するのであれば、住宅ローンの事前審査を済ませたり購入の意思を明確に示したりして、メリットを提示することを心がけるとよいでしょう。
なお、値引きにこだわりすぎてタイミングや交渉方法を間違えると、物件を買い逃したり販売会社との関係が悪化したりする恐れがあります。
建売住宅はあくまで内容で選び、値引き交渉するかどうかは慎重に判断することをおすすめします。